社内不倫をした社員を懲戒解雇することはできるのでしょうか?
目次
不倫行為はプライベートな行為である。
まず不倫というのは
プライベートな行為(私的な行為)であります(セクハラに該当する場合を除く)。
そこで過去の裁判で、プライベートな行為(業務外の行為)は懲戒処分をする際に、
どのような影響を与えるのか、確認する必要があります。
国鉄中国支社事件(最高裁一小 S49.2.28)
かんたんにいうと
社員が、業務時間外に警察官の公務を妨害したことから逮捕・起訴され、懲役6月執行猶予2年の判決を受けた事件。
これを受けて、会社が懲戒処分をおこなった。というもの。
判決では、
従業員の職場外の職務遂行に関係のない行為であっても、
企業秩序に直接関係するもの、企業の評価を毀損するおそれがあるものは
企業秩序による規制の対象になる。
横浜ゴム事件(最高裁三小 S45.7.28)
かんたんにいうと、
社員が業務外で他人の住居に侵入してつかまり、
住居侵入罪で罰金25,000円に処せられた。
これを受けて会社が懲戒解雇を行った、その効力に対する裁判。
判例では、
行為の様態、処分の程度、職務上の地位などの諸事業を考慮する。
日本鋼管事件(最高裁二小 S49.3.15)
かんたんにいうと、
ユニオン・ショップ協定を締結していた組合を脱退し
他組合に加入した者に対して行なわれた
ユニオン・ショップ協定に基づく解雇の効力が争われた事例
判例では、
従業員の不名誉な行為が会社の体面を著しく汚したと言うためには、
必ずしも具体的な業務阻害の結果や取引上の不利益の発生を必要とするものではないが、
当該行為の性質、情状のほか、会社の事業の種類、従業員の会社における地位、職種などの事情から総合的に判断して、
行為により会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価される場合でなければならない。
就業規則での対応
懲戒処分を行う際には、あらかじめ就業規則に懲戒処分の事由を記載しておき、
その懲戒処分事由に当てはめる形で処分をしなければならなりません。
不倫の場合だと、「素行不良で社内の秩序及び風紀を乱したとき」などにあたると思われます。
懲戒処分の選択
懲戒処分の選択においては、労働契約法15条の懲戒権濫用法理を念頭におきながら、
慎重に対応した方がよいでしょう。
社内不倫のみを理由として懲戒解雇をすることは無理と考えて良いです。
過去の判例(繁機工設備事件)では、
就業規則の「素行不良で社内の秩序及び風紀を乱したとき」とは、
「企業運営に具体的な影響を与える事情に限る」としており、
社内不倫自体は社員の地位、職務内容など総合的に判断して、
「企業運営に具体的な影響を与える事情」とはいえないとして、懲戒解雇を無効としています。
まとめ
社内不倫をした社員への対応としては、
①口頭での注意指導、警告書などでとどめ、処分なしとする。
②懲戒処分するとしても、けん責、減給、出勤停止、懲戒休職など
いずれにしても軽度の範囲に留めるほうがいいでしょう。
ちなみに処分をするにあたって、男女で処分の程度に差を設けることは
できません。
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【編集後記】
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チートス食いまくって探しまくろう